2008年1月25日金曜日

第三十三話【貸倒引当金の計上2】

会社設立・大阪FirstStep節税対策:引当金による対策2】

繰入限度額は、次の2つがありました。
(1)金銭債権を個別に評価する債権(個別評価金銭債権)(前回)
(2)一括して評価する債権(一括評価金銭債権)に区分してそれぞれ計算します

今回は、(2)一括して評価する債権(一括評価金銭債権)をご説明します。



(2)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金
 一括評価金銭債権とは、売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(個別評価金銭債権を除く)で、貸倒による損失が見込まれる金銭債権をいいます。

※含まれるもの
 売掛金、受取手形、割引手形・裏書手形、貸付金、未収入金(資産の譲渡対価、役務提供の対価に関するもの、貸付金の未収利子、未収の損害賠償金)、先日付小切手(振出した日以後に支払日がくる小切手)、立替金・仮払金等(他人のための立替払い)、保証債務を履行した場合の求償権(裏書・割引手形を受取り、後日、不渡りになった際に、その裏書・割引手形を振出した相手に対して請求することができる権利)など
※含まれないもの
 預貯金・公社債の未収利子、未収配当金、保証金・敷金・預け金、手付金・前渡金、前払給料・概算払旅費、仕入割戻しの未収金など)

 一括評価金銭債権の繰入限度額は、事業年度終了の日における金銭債権に貸倒実績率を乗じて計算します。



※なお、資本金1億円以下の中小法人については、貸倒実績率と法定繰入率との選択適用が認められています。

①繰入限度額の計算
 一括評価債権の金額×貸倒実績率

②貸倒実績率の算定
 その法人の過去3年間における貸倒損失の発生額に基づき次の算式により計算します。

 貸倒実績率 = G ÷ H

 H = (A:その事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度終了日の一括評価債権の合計額)
÷ (B:Aの各事業年度の数)

 G = (C:その事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度終了日の売掛債権等の貸倒損失の額 + D:その各事業年度の個別評価金銭債権の繰入額 - E:その各事業年度の個別評価金銭債権の戻入額 ) × (12 ÷ F:各事業年度の月数の合計額)


貸倒実績率の計算例(表示順:事業年度、各事業年度の月数、一括評価金銭債権の合計額、貸倒損失額、個別評価金銭債権繰入額、個別評価金銭債権戻入益)

前期、12ヶ月、100,000千円、10,000千円、5,000千円、3,000千円
前々期、12ヶ月、80,000千円、8,000千円、3,000千円、2,000千円
前々前期、12ヶ月、60,000千円、5,000千円、2,000千円、1,000千円

貸倒実績率:0,1125 = G:9,000千円 ÷ H:80,000千円
H:80,000千円 = A:240,000千円 ÷ B:3
G:9,000千円 = (C:23,000千円 + D:10,000千円 - E:6,000千円)× 12 ÷ 36


※法定繰入率(資本金1億円以下の中小法人に限定)

貸倒引当金繰入限度額 =( 一括評価債権の合計額 - 実質的に債権と見られない金額)× 法定繰入率

法定繰入率
(1)卸売業及び小売業(飲食店及び料理店業を含み、(4)の割賦販売小売業を除く)・・・10/1,000
(2)製造業(電気、ガス、熱供給、水道及び修理業を含む)・・・8/1,000
(3)金融及び保険料・・・3/1,000
(4)割賦販売小売業及び割賦あっせん業・・・13/1,000
(5)その他の事業・・・6/1,000


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2008年1月18日金曜日

第三十二話【貸倒引当金の計上1】

会社設立・大阪FirstStep節税対策:引当金による対策1】

 法人の有する金銭債権の貸倒による損失見込額として損金経理により繰り入れた貸倒引当金のうち、繰入限度額の金額が損金に算入されます。今回と次回の2回に渡って貸倒引当金の計算方法についてご紹介いたします。


繰入限度額は、次の2つがあります。
(1)金銭債権を個別に評価する債権(個別評価金銭債権)(今回)
(2)一括して評価する債権(一括評価金銭債権)(次回)
に区分してそれぞれ計算します。

今回は、(1)金銭債権を個別に評価する債権(個別評価金銭債権)についてご説明します。


(1)個別評価金銭債権に係る貸倒引当金
 個別評価金銭債権とは、その事業年度終了の時に金銭債権の一部について貸倒れその他これに類する事実(売掛金などの金銭債権の貸倒れのほかに、保証金や前渡金等について返還請求した場合の返還請求権が回収不能となった金額も含みます)による損失が見込まれる金銭債権をいいます。この個別評価金銭債権は次のように区分され、それぞれについて損失の見込み額の計算方法が定められています。なお、繰入限度額は個々の債務者ごとに計算します。
 また、「貸倒れその他これに類する事実」には売掛金、貸付金その他これらに類する金銭債権の貸倒れのほかに、保証金や前渡金について返還請求した場合の返還請求権が回収不能となった金額も含まれます。貸倒引当金繰入限度額は次のとおりになります。

①法令手続き等によりその弁済が長期棚上げされた金銭債権
 法人の有する個別評価金銭債権の債務者について、特定の事由が生じたことによりその弁済を猶予され、又は賦払いにより弁済されることとなった金銭債権をいいます。
 特定の事由とは、次のとおりです。
a.法令手続き等により、その弁済が長期棚上げされた金銭債権・・・5年を超えて弁済される金額
b.債務超過状態の維持等による一部取立不能の金銭債権・・・取立不能額
c.法的手続き等の申立て等が生じている金銭債権・・・個別評価金銭債権の額の50%

※繰入限度額の計算
 貸倒引当金繰入限度額 = A - B - C
  A:対象金銭債権
  B:特定の事由が生じた事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までの弁済予定金額
  C:担保権の実行その他により取立等の見込みがある金額

②債務超過状態の継続等による一部取立て不能の金銭債権
 法人の有する個別評価金銭債権の債務者について、債務超過の状態が相当期間(おおむね1年以上)継続し、その事業により好転の見通しがないこと、災害、経済事情の急変等による多大な損失が生じたこと、その他の事実が生じていることにより、その一部の金額について取立て等の見込みがない金銭債権をいいます。

※繰入限度額の計算
 貸倒引当金繰入限度額 = A - B
  A:対象金銭債権
  B:担保権の実行その他により取立等の見込みがある金額

③法的手続き等の申立てが生じている金銭債権
 法人の有する個別評価金銭債権の債務者について、次の事実が生じた場合の金銭債権をいいます。
 特定の事由とは、次のとおりです。
  a.会社更生法若しくは、金融機関等の更正手続きの特例等に関する法律の規定による更正手続開始の申立て
  b.民事再生法の規定による再生開始手続きの申立て
  c.破産法の規定による破産の申立て
  d.商法の規定による整理計画又は特別清算開始の申立て
  e.手形交換所による取引停止処分

※繰入限度額の計算
 貸倒引当金繰入限度額 =( A - B - C )× 50%
  A:対象金銭債権
  B:実質的に債権とみられない金額
  C:担保権の実行、金融機関等の保証債務の履行その他により取立て等の見込みがある金額

※実質的に債権とみられない金額について
(1)取引先で売掛金や受取手形と買掛金が存在する場合に、買掛金に相当する金額
(2)取引先で売掛金や受取手形と保証金を預っている場合に、保証金に相当する金額
(3)取引先で未収地代家賃と敷金を預っている場合に、預り敷金に相当する金額 など


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2008年1月11日金曜日

第三十一話【中小企業倒産防止共済(全額損金→40ヶ月で全額戻り】

会社設立・大阪FirstStep節税対策:保険等による対策3】

※倒産防止共済とは
 中小企業基盤整備機構が行ってるもので企業が毎月一定の掛金を積み立て、取引先が倒産した場合に、積立掛金総額の10倍の範囲(最高3,200万円)までを回収困難な売掛債権等の額以内の貸付を受けることができる制度です。
 この毎月の掛金は税法上、法人の場合は損金(個人の場合は必要経費)に算入できます。

(加入条件)
従業員数または、資本金のいずれかが以下の範囲内であれば加入できます。(個人企業の場合は、常用従業員数によります)

一般業種(製造・建設業等):常用従業員数300人以下又は資本金3億円以下
卸売業:常用従業員数100人以下又は資本金1億円以下
サービス業:常用従業員数:100人以下又は資本金5千万円以下
小売業:常用従業員数50人以下又は資本金5千万円以下

※解約手数料が40ヶ月で全額戻るため、定期的に改装等が必要又は予定している企業は、節税と貯蓄ができます。


例えば、掛金を納付した月数が11ヶ月までの場合は、解約手当金は戻らないことになっていますが、40ヶ月以上の場合は、任意解約の場合、掛金総額の100%(つまり全額)の解約手当金を受け取ることができます。

但し、解約手当金は税法上は、受取時点で、法人の場合は益金(個人は事業所得の雑収入)となります。


これを利用して、利益が出たときは、掛金を支払うことで利益を抑えることができ、損失が出たときに任意解約することにより、一定の損失をカバーすることができるため、利益をコントロールすることができます(ただし、掛金を納付した月数には注意が必要です)。


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